実際に遺品整理業を合法的にを行なうためには、幾つもの許認可を取得していることが不可欠です。
今回については、そのうちの「一般廃棄物収集運搬業許可」の収得に際して、その要件や、取得において考慮すべき点に関し、案内していくつもりです。
既に許認可を取得している方も、遺品整理業向けての参入に関して念頭に置くべき点につきまして、説明してますので一読していただけると光栄に存じます。
一般廃棄物収集運搬業許可の要件
一般廃棄物の収集運搬業は市町村長許認可となり、市町村長の裁量度合いが顕著で、その市町村の処理計画の中において取り入れられるため、ごみの減量を促進している市町村等は許可業者数をコントロールしていて、許可を取りたくても獲得できないケースがあります。
そして、許認可をうける迄は、次に示すような、廃棄物処理法7条5項の各号に規則に従った、要件を全部満たしていることが必要です。この要件につきましての、概要としては以下の通りです。
- 当該市町村による一般廃棄物の収集又は運搬が困難であること。
- その申請の内容が一般廃棄物処理計画に適合するものであること。
- その事業の用に供する施設及び申請者の能力がその事業を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること。
- 申請者が、法律の定める欠格要件に該当しないこと
許可申請を検討するにあたっての問題点
許可の判断にあたって、市区長の意思決定に委託される部分が極めて大きく、
取得が可能かどうであるのかの判断が困難
上項で解説を行った要件につきましては、四号要件を除き、とても抽象的なもので有って、はたまたこの基準も各市区町村次第で大きく異なっています。
それもあって、「他の市区町村では同様の条件で許可が下りたのに、許可が下りなかった」等のような事態に見舞われる懸念も充分見受けられます。
尚、こういった風に、許可の要件の該当性において、許可権者(市区町村)に決定が委ねられるポイントが大きいのを、法律用語として、「(要件)裁量」が認められる、と言われています。
また、許可を獲得するには、少なくとも上項で解説を行った要件を全て満たすことが不可欠であるのですが、
注意すべき点は、こちらの要件を全て満たしたケースで、誰もが許可が下りるという結果にはなりません、ということです。
廃棄物処理法7条5項は、「市町村長は、(一般廃棄物収集運搬業に関する)許可の申請が、次の各号(上記に示したものです)に適していると認める際でなければ、同項の許可をしてはならない」と定められており
「次の各号に適した場合に、市町村長は、許可をしなければならない」と決められてあるわけではないのです。
尚、こういった様に、法律上の要件を満たした事実を踏まえて、許可権者(市区町村)に、許可するか否かという部分が任せられている事を、法律用語で「(効果)裁量」が認められる、と言っているのです。
以上のように、一般廃棄物収集運搬業許可に関しましては、法律上許可権者である市町村長に大きく広い裁量が承認されます(判定が委ねられている)。
このこと自体が、許可の申請を想定するに際し頭が痛い点の一つと言えます。
とくに都市部等において、一般廃棄物収集運搬業許可の新規申請を受付無いとの運用を採用している自治体が多くある
一般廃棄物収集運搬業の許可については、行政(市区町村)に幅広い裁量が認定される点は既に説明した通りでございますが、
一部分の自治体(特に都市部)の場合は、一号要件に当たらない(現状の一般廃棄物収集運搬許可業者で、充分処理能力が提供されいる)事を理由に新規の許可申請そのものを受入れていないところも存在します。
一号要件の基準に於きましても、各自治体に広い裁量が承認されておりますので、その自治体側が「一号要件が満たせない」という判定を行なっているケースでは、新規の申請は随分困難であると言わざるを得ません。
当然ですが、裁量を有していると言っても、明らに判断が相応しくない(不合理とされる)場合には、異議を述べることも可能であるのですが、
このような異議が認められるのは現実問題として極めて稀有である、ということを意味します。
許可申請を想定している自治体がこれほどの運用を取っていた場合は、別の地域で実施すべきと考察した方が良いかと確信しています。
許可取得が完了したら留意すべき点
一般廃棄物収集運搬業許可は、あくまで「その区域」毎に出されるもの
市区町村から許認可される一般廃棄物収集運搬業の許可は、原則「その区域においての収集運搬業務」に限定のものです(廃棄物処理法7条1項本文参照)。
その事から、以前より許可を取得している業者のほうが、事業拡大等によって別の地域で遺品整理を務めるケースでは、新たな形でその地域での許認可を取得する必要があります。
一般廃棄物収集運搬業の許可において、費目が限られるケースがある
一般廃棄物収集運搬業の申請が市町村より認可された上で、許可を取得する際、費目が限定的な形で許認可されるケースがまま見受けられます。
このような時は、あくまで認可されていますのは、限定が付された費目に対しての一般廃棄物の収集・運搬でありまして、その他の費目の一般廃棄物に関しまして収集・運搬を行うという事は違法と考えられてしまいます。
そんな理由から、既に許可を取得している業者の人達に関しましても、許認可に限定が付されているか、限定が付されているケースで、遺品整理業の中で推測される一般廃棄物が記載されているか、といったポイントについて、事前に確かめておくように心掛けましょう。
ここまで、遺品整理業を行うのに絶対必要な、一般廃棄物収集運搬業許可の取得要件等に関し紹介いたしました。
今の時点におきましては、新規取得は簡単ではないと言えるのですが、地域次第では取得の可能性が存在しています。
それにも関わらず、そのような場合でも決して簡単に手にできる意味ではなく、必要書類等においてしっかりとした準備が不可欠となるのは間違いないです。
一方で、既に許可を取得している方からすれば、現状相当なビジネスチャンスと考えられて得る分野なことは違いはありません。
法改正等により、将来局面が大きく変化する可能性もありますので、許可を取得している方で、遺品整理業を対象にした参入を想定している方も、この機会にエキスパートにご相談した方が良いでしょう。